日米共同訓練に対抗措置の脅し、ロシアは「神経過敏な状態」と専門家
東京(CNN) ロシアが日本に対して、もし米国との海上共同訓練をロシア沿岸付近で拡大すれば「対抗措置」を講じると警告した。
こうした脅しはロシアから続く非難の最新の一例に過ぎない。日本がウクライナを支援し、北大西洋条約機構(NATO)諸国との結びつきを深める姿勢がロシアを怒らせている。そしてこの脅しは第2次世界大戦の終結時に当時のソ連が占領した島々の主権を巡る長年の争いにも火をつけている。
ロシア国営RIAノーボスチ通信によると、同国のモルグロフ外務次官は26日、日米共同訓練は「潜在的に攻撃的な性質がある」と発言した。
さらに「日本側によるこうした行為はわが国の安全保障への脅威とみなす」「そのような活動が拡大すれば、ロシアは自国の防衛能力を強化するために対抗措置をとる」とも述べた。
米空母「エイブラハム・リンカーン」と海上自衛隊の護衛艦「こんごう」が日本海での日米共同訓練に参加=4月12日/AP
ただ、同氏は日米間のどの訓練を念頭においているのかを明確にしなかった。ロシア側の対抗措置がどんな形をとるのかも明言していない。
日本政府は同氏の発言に反応していない。CNNは日本政府にコメントを求めたが回答はない。
日米は先週、東シナ海とフィリピン海で米空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群が先導する共同訓練を終えたばかり。今月初めには、同空母が日本海でも同様の共同訓練を実施した。ロシアは日本海に長い海岸線を有している。
米海軍によると、日米は「自由で開かれたインド太平洋地域の維持」を目的に定期的に海上での共同訓練を行っている。
第2次大戦時から続く論争
日ロ間の緊張の高まりは、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降の日本によるウクライナ支援と、第2次大戦後にソ連軍が占領した北方領土の主権に関する争いで悪化している。
日本は22日、2022年版外交青書で、北方領土がロシアに「不法占拠」されていると明記した。こうした表現は20年ぶりとなる。日本側がこの島々を北方領土と呼ぶ一方、ロシアは南クリル諸島と呼んでいる。
外交青書によれば、日本政府はこれらの島々を「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」と位置付けている。
論争自体は数十年にわたり続いていたが、日本のウクライナ支援がきっかけで日ロ間の対立がヒートアップした。
外務省の発表によると、岸田文雄首相は26日、ウクライナに対し食料や医薬品、追加的財政支援、小型ドローン、防護マスクを提供することに同意した。ゼレンスキー大統領との今年4回目の会談後に発表があった。
日本は今月、ウクライナでの戦争行為を理由として、ロシアの外交官や当局者8人を追放している。