中絶の権利覆す米最高裁判決、同盟国から失望の声 「恐ろしい」
ロンドン(CNN) 米最高裁が24日、人工妊娠中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド事件」の判例を覆したことに対し、欧米の同盟国からは「恐ろしい」「大きな後退だ」などといった憤りと失望の声が上がった。
ジョンソン英首相は判決が「世界中の人の考え方に大きな影響を与えるのは明らか」だと指摘し、「非常に重要な判断」との見方を示した。
ジョンソン氏はルワンダで開かれた英連邦加盟国首脳会議の記者会見で判決に言及。「大きな後退と言わねばならない」「私は常に女性の選択の権利を信じてきたし、今でもその見解は変わらない」と述べた。
米国は現時点ですでに、主要7カ国(G7)などの民主主義同盟国の中で特に厳しい中絶法を定めている。
だが今回の判決を受け、米国はリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の問題に関し、さらに孤立を深めることになった。
カナダのトルドー首相は「米国から恐ろしいニュースが届いた」とし、「私の心は合法的な中絶の権利を失う何百万人もの米国人女性と共にある。皆さんがいま感じている恐怖と怒りは想像を絶する」と語った。
フランスのマクロン大統領も米国の女性との「連帯」を表明。人工妊娠中絶は「すべての女性の基本的権利」だと強調した。これに先立ち、フランスのコロンナ外相も「恐ろしい」判決との見方を示していた。
英首都ロンドンの米国大使館前では24日夕、抗議デモが行われた。週末にかけて欧州各地で他にもデモが予定されている。