台湾と香港の「心をつかめ」、習近平氏が中国共産党に要求
海外に暮らす中国人向けの業務も統括する統戦部の動きについては、近年国際社会が否定的な目を向けていた。背景には、世界的な影響力の増進を図る中国に対する懸念がある。
他方、統戦部の国内での活動を巡っては、共産党に反発する可能性のある人々を鎮圧する手段と長く目されてきたが、ここにも国際社会からは否定的な見方が出ている。その権限によって特定の宗教や民族に属する集団を弾圧していると考えられているためだ。
習氏は統戦部の任務として、「民族問題」において「中華民族への強い共同体意識を育てる」ことに言及。また各宗教に関しては「中国的な背景の中で」発展させていく考えを示した。人権擁護の活動家などからは、このような認識の一環として最近特定の宗教や民族に対する弾圧が行われていると非難する声が上がっている。
習氏はさらに「中華民族の全ての息子たち、娘たちを1つにする」必要性も強調。専門家によるとこの言葉は共産党の構想を指しており、中華民族であればたとえ中国籍を持っていなくても全員を結び付けるというのがその主旨だという。
この構想に対しては反発する中国系住民もいる。とりわけ物議をかもしているのは、一部の西側諸国で中国系の人々が不当な取り締まりの標的にされているとの見方が出ている点だ。これらの国々では、中国によるものとみられるスパイ行為の封じ込めに取り組んでいる。