ウクライナ原発付近の戦闘、「重大な結果」招く恐れ IAEA事務局長
(CNN) 国際原子力機関(IAEA)の事務局長は11日、国連安全保障理事会の緊急会合で、ウクライナのザポリージャ原子力発電所付近の戦闘によって施設に被害が出たと述べ、IAEAによる同原発への立ち入り調査を即刻認めるよう求めた。
これまでのところ、ロシアもウクライナもIAEAの調査を認める意図はなく、それがザポリージャ原発が戦闘に巻き込まれる事態を招いた。
トルコのイスタンブールからオンライン経由で発言したIAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、原発の一部が攻撃のために稼働できなくなっている状況について説明した。
この中でグロッシ氏は、ザポリージャ原発の状況は急激に悪化し、極めて憂慮すべき状況に陥ったと指摘。原発の安全性がすぐにも脅かされる状態ではないとIAEAの専門家は判断しているが、その状況はいつ変わってもおかしくないと述べ、放射線漏れが起きる事態は「容認できない」と強調した。
その上で、「核の安全を損なう軍事行動は即刻中止しなければならない」「これほど大型の核施設付近での軍事行動は、極めて重大な結果を招きかねない」と警告。ザポリージャ原発の状況は「重大時」に達したと述べ、「IAEAのザポリージャに対する調査はできる限り早期に認められなければならない」と訴えた。
ザポリージャ原発と同原発のあるエネルホダルは、3月上旬からロシア軍に占拠されている。