「僕をパパと呼んでくれる」 故郷ハイチのゴミの山に男児、救った男性が養子縁組進める
(CNN) 2018年、ハイチのゴナイブという町で年越しパーティーに向かっていたジミー・アミシアルさんは、人だかりを目にして近づいた。
「人が大騒ぎしているところへ行ってみると、赤ちゃんがいた」とアミシアルさん。当時22歳で、留学先の米テキサス州から帰省していたところだった。「ゴミ山の中から泣き声がした。誰一人、手を出そうとはしなかった」
地元の人々は赤ちゃんが呪われている、あるいは不吉な子どもだと恐れて触れようとしなかったが、アミシアルさんはこわごわ赤ちゃんを抱きあげた。
「真っ裸だった。数時間そこに放置されていたので、体中にヒアリが這(は)い回っていた。抱きかかえるとすぐに泣きやんだ」
2人の間に絆(きずな)が生まれた。4年以上が経過した現在、アミシアルさんはあの夜からずっと育ててきた男児の父親になろうと、正式に養子として迎える手続きを進めている。
「あの日目覚めた時は、人生が永遠に変わることになるとは思いもしなかった」と、アミシアルさんはCNNに語った。
一時的な保護が認められる
保護された直後、生後4カ月のエミリオくん/Courtesy Jimmy Amisial
あの夜、アミシアルさんは見つけた男児を母親のエリシー・ジーンさんの家に連れて行った。パーティーに出かけて行った息子が生後3カ月の乳児を連れて帰ってきたのを見て、母親は驚いた。
「身体を洗っているうちに、ところどころヒアリにかまれてアレルギー反応が出ていることに気づいた。それで痛みを和らげるのにローションを塗った」(アミシアルさん)
アミシアルさんは見つけた赤ちゃんを警察に届け出た。そして警察の提案にしたがって、捜査の間一晩預かることにしたという。
翌日、判事が母親の家を訪れ、一時的に子どもを預かりたい気持ちはあるかとアミシアルさんに尋ねた。誰も親として名乗り出る者がいなかったためだ。
「そう尋ねられてから何日も眠れない日が続いた。あれこれ悩んでいたが、物事には必ず理由があるのだと母に言われた」とアミシアルさんはCNNに語った。「自分もつねづね何か素晴らしいことに関わりたいと思っていた。あれがまさにその瞬間だった」