パキスタン貯水池から放流、10万人避難させ人口密集地の被害防止
(CNN) 大規模な洪水の被害が拡大しているパキスタンで、当局が4日、人口密集地の被害を防ぐため、10万人を避難させて国内最大の貯水湖の放流を行った。
灌漑(かんがい)担当相によると、南東部シンド州にあるマンチャール湖の水位が同日、危険な水準に達したことから放流に踏み切った。
放流はシンド州のセーワンやダドゥなど人口の多い都市や町を最悪の水害から守る目的で行われ、近隣地区のジャファラバードやブバクに水が流れ込んだ。
パキスタンは記録的なモンスーンの大雨に北部山間部の氷河の融解が追い打ちをかけ、政府や支援団体によれば人口の15%に当たる3300万人が被災している。
特に南部のシンド州とバルチスタン州では、モンスーンの雨量が平年の5倍にもなっている。
災害対策当局によると、6月中旬以来、4日までの死者は1305人に達し、ほぼ3分の1を子どもが占めた。
5日には複数の国際支援団体がパキスタンに到着し、食料や水、医薬品などを被災者に届けている。
保健当局の専門家は、水がすぐに引かなければ感染症が流行する恐れもあると危惧する。
医療支援団体の広報担当者は1日、CNNの取材に対し、被災者は洪水によって何もかも押し流されたと語り、長期的な支援が必要になるだろうと指摘。診療所には、靴をなくして足に重いけがを負った子どもたちが来ていると話した。医薬品の値上がりで普段服用している薬が入手できなくなった人がいるほか、道路が通行できなくなった影響で被災地以外でも食品の値段が急騰しているという。