「皆逃げていった」、住民がロシア軍撤退を目撃 ウクライナ・ハルキウ州
ザルジニー・ウクライナ軍総司令官は11日、同軍が今月に入り3000平方キロ以上を奪還したと発表した。その大半の地域はハルキウ州内にあるとみられる。
だが現地を見れば、クピャンスクの運命は定まっているとは言い難い。ウクライナが新たに解放した地域を支配し続けることは困難を伴う状況にある。
そこよりもさらに西に行けば、平穏が訪れている村々もある。ハルキウ州の村ザリズニチネは先週、東方での反攻ペースが上がる中で解放された。同村での戦闘ははるかに痛みを伴わないものだったとみられる。
ロシア軍の退却を目撃したオレクサンドル・ベルビツキーさん(66)は「これほど早くなるとは思いもしなかった」と語る。「店に行って戻ってきたら、皆逃げていっていた。ロシア人が逃げようとして墓地を車で突っ切っていった。想像できるか」
ザリズニチネの近くでは、ウクライナの捜査官が現地を訪れ、戦争犯罪の証拠が残っていないか注意を払っている。
ブチャをはじめとする首都キーウ(キエフ)北郊では、ロシア軍が1カ月に及ぶ占領を経て退却した後、恐ろしい光景が残っていた。それを知っている捜査官は皆、何を探すべきか心得ている。
戦争犯罪の捜査官は他の当局者とともに、壊れた家で住民の女性から話を聞いた。マリア・グリゴロワさんは今年2月、ロシアの侵攻から数日後に近所の人1人と友人1人の遺体を埋めざるを得ない状況に置かれた。
グリゴロワさんは「数日間戸が少し開いていたことに気づいていた。彼らが生きているか、または負傷しているかを確認すると、冷たい状態になっていて、コンスタンティンの額には2つの穴があったと気づいた」と語った。
ザリズニチネの住民は占領は「恐ろしかった」と語る。平穏の感覚が戻ってきても、ロシア軍が戻ってくるのではないかとの恐怖がまだ残っている。ハルキウ州警察の捜査部門トップは「ほぼあらゆる村で」戦争犯罪とみられる証拠を記録していると語る。
前述のベルビツキーさんは「ロシア人が何を考えているのか決してわからなかった。彼らが自分を撃つ可能性があると知っていたから、決して話さないようにしていた。彼らが自分を通り過ぎるときは、顔をそむけていた」と語った。