ロシアの安保理拒否権のはく奪、ゼレンスキー氏が訴え 国連総会
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、国連総会の一般討論演説を行い、各国首脳にロシアによるウクライナでの戦争への反対で団結し、安全保障理事会でのロシアの拒否権をはく奪するように訴えた。
演説は事前録音したメッセージを流す形で行われた。代表団がまばらな議場だったが、演説はスタンディングオベーションを受けた。
ゼレンスキー氏はロシアによる国連加盟国への侵攻は世界の秩序をひっくり返したと言明。「侵略者が国際機関の意思決定に関わっている限り、それを絶縁する必要がある。少なくとも侵略が終わるまではだ」と述べ、「投票権を拒絶せよ。代表団の権利を奪え。それが国連安保理の理事国なら拒否権をはく奪せよ」と訴えた。
ゼレンスキー氏はロシアのプーチン大統領が世界で孤立を深めているとも言及。ウクライナも欧州も世界も平和を求めているが「戦争を欲する人物がただ1人いるのを我々は目撃している」と述べた。
ロシアの動きについては、冬を利用して再び侵略の用意を進めるだろうとの予測を示した。プーチン氏は同日早く、侵攻を支えるための国民の「部分的動員」を発表し、核兵器の使用の懸念も生じさせる発言をした。
ゼレンスキー氏はまた、ロシアとウクライナの紛争における「中立」という概念を激しく非難。「人間の価値と平和が攻撃を受けているときに、中立を語る人物は違う意味を帯びてくる。それは無関心を語っているということであり、自分だけを考える人々だ」と語った。
またロシア側との交渉は過去に失敗に終わり、2月の侵攻前にはさまざまな形式で88回も交渉があったとも言及した。
友好国に対しては軍事支援の必要性を改めて強調し、命をかけた戦いを進める上で領土奪還を目的とした攻撃用兵器、防空手段をはじめとする防御用兵器が必要だと訴えた。さらに国内の安定と国民への社会的責務を果たすための財政支援も求めた。
ゼレンスキー氏は和平に向けた5つの必要な条件も示した。制裁や外交上の孤立を含むロシアに対する罰、ウクライナの領土回復、安全の保証、命の保護のほかに、ウクライナと世界の「決意」を挙げ、「それは戦うという我々の決意、我々や自国を助けるというパートナーの決意だ。そして、武力侵攻に抵抗して戦う存在を囲んで団結し、全てを脅かす存在に対して秩序を守るように要求するという世界の決意だ」と述べた。