ブラジル軍が大統領選を調査、不正の兆候なしと報告も可能性は排除せず
(CNN) ブラジルの軍隊は今年行われた大統領選について、現時点で票が不正に操作された兆候は確認できていないと述べた。今週発表した新たな報告で明らかにした。
ただこの報告書を受け、退任する現職のボルソナーロ大統領の支持者らが一段と緊張を高める懸念が依然として存在する。ボルソナーロ氏は選挙遊説の際、不正が行われる可能性についての根拠のない主張を繰り返していた。
先月の決選投票にまでもつれ込んだ大統領選は、左派のルラ元大統領が勝利した。この結果に極右のボルソナーロ氏を支持する人々は怒りを表明。路上での抗議活動を行った。
国防省が発表した上記の報告は、今回の選挙の手続きにいかなる不正も不一致もなかったことを示す一方、そうした可能性を完全に排除することは拒否した。
具体的には、電子制御された国内の投票機のプログラムをコード化する際に、安全性の脅威が想定される余地があるとした。プログラムのソースコードに完全にはアクセスできなかったことが理由で、国防省は悪意あるコードが影響を与えた可能性を排除できなかったという。
そうした問題が存在したとみられる証拠は提示しなかったものの、同省はブラジルの選挙裁判所に対し、独自の調査を行うよう呼び掛けた。
ルラ氏は10日、政界の同調者らとの集まりで軍隊が電子投票の調査に関与したことを「嘆かわしい」と非難した。
リオデジャネイロ州立大学のジョアン・セザル・デ・カストロ・ロチャ教授は、今回の報告について、選挙結果に対する疑義を引き起こす「隠れた戦略」があると指摘。不正の有無を意図的に曖昧(あいまい)にすることで、ボルソナーロ氏の支持者に対しいつでも行動を促せるようにしていると分析した。
ボルソナーロ氏は元陸軍大尉で、軍隊と非常に強いつながりを持つ。今回の報告とその経緯については公にコメントしていない。CNNは同氏が所属する自由党に報告について質問したが、回答は得られなかった。