欧州でのロシアのスパイ活動に「重大な打撃」 MI5長官
ロンドン(CNN) 英情報局保安部(MI5)のマッカラム長官によると、ここ数年で英国だけで100件の外交ビザ申請が却下されるなど、ロシアのウクライナ侵攻以来、ロシア外交官の追放が協調して行われたため、欧州におけるロシアのスパイ能力は「最も大きな戦略的打撃」を受けているという。
マッカラム氏は英国に対する脅威を概説する年次演説で、今年600人のロシアの職員が欧州から追放され、そのうち400人がスパイだとMI5は判断したと説明した。
さらに「英国の場合、外交官を装った23人のロシア人スパイを排除して以来、国家安全保障を理由に100件超の外交ビザ申請を却下してきた。重要なのは英国は今後何年にもわたりロシアの侵略に備える必要があることだ」と述べた。
講演後のコメントで同氏はスパイ追放は「ロシアが欧州全域に配置することを求める中でかなり大きな打撃」とし、スパイに関するデータは欧州の同盟国間で共有されているため「ロシアがA国から追放されたスパイをD国へと配置変えすることは容易でない」と付け加えた。
講演ではイランの国家的反則行為の脅威が高まっていることも明らかにした。脅威には「政権の敵とみなされる英国人や英国在住の人物を誘拐したり殺害したりする野心」などが含まれ「1月以降、英国内だけで10件のそうした潜在的脅威」があったという。
また、中国も「英国にとって形勢を一変させる戦略的課題」を突きつけていると指摘。「中国当局は、中国に有利なように世論を操作するために長期的な視野に立って人脈を開拓している。著名な国会議員だけでなく、公職に就いて間もない人々を取り込んで影響を与え、徐々に恩義を築くことを目指している」と述べた。