黒海でタンカー多数が滞留、ロシア原油の価格上限制度が原因
(CNN) G7(主要7カ国)などが先に打ち出したロシア産原油の取引に伴う価格上限制度の導入が原因で、トルコのボスポラス海峡を経由し地中海に向かう予定だった多くの原油タンカーが黒海で滞留していることが11日までにわかった。
トルコ・イスタンブールを拠点にする海運企業「トライベッカ」によると、黒海から南へ航行し同海峡を通過してエーゲ海へ抜けるマルマラ海への進入を待っているタンカーは8日時点で16隻だった。6日と比べ5隻の増加となっていた。
さらに、マルマラ海からダーダネルス海峡を通り、地中海入りを目指す9隻が許可待ちとしている。
この状態が解消しなければ、ロシアのウクライナ侵攻で世界のエネルギー市場が揺さぶられている中、供給網に打撃を与え、価格上昇を招くことも考えられる。
タンカーの航行が渋滞している水路などはトルコが管理している。トルコ当局者はタンカーが積んでいる原油は大半が欧州諸国向けと説明した。
米英政府当局者は事態を把握し、トルコ当局との間で解決方法を見い出すための話し合いを持っているとした。
G7などは5日にロシア産原油の取引での価格上限制度を発動。ロシアの原油供給能力をそぎ、世界経済への悪影響を排除しながら、ウクライナ侵攻を支える財源確保の封じ込めを狙っていた。
今回のロシア産原油の輸入に関する締め付けでは、保険会社に対し設定された価格上限の水準を上回った取引に関与する船舶に保険を提供しないよう義務付けた。ただ、トルコは黒海と地中海を結ぶ海峡の通行を船舶に認める前、この保険の保持を要求しているという。