北朝鮮、新型ロケットエンジンのテストに成功と主張 ICBM戦力強化の可能性
韓国・ソウル(CNN) 北朝鮮は16日、新型の固体燃料ロケットエンジンのテストに成功したと発表した。これにより金正恩(キムジョンウン)政権は将来、より迅速かつ確実に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射できるようになる可能性がある。
新たな高推力ロケットエンジンのテストは平壌の北西にある衛星発射場で15日に行われた。国営朝鮮中央通信(KCNA)が報じた。
公開された画像には、テストに立ち会う金氏の姿が写っている。KCNAはテストについて、新型の戦略兵器システムの進展を裏付けるものだとしている。
米ミドルベリー国際大学院東アジア不拡散プログラムの責任者、ジェフリー・ルイス氏はツイッターへの投稿で当該の兵器について、固体燃料推進ICBMの第一段階だと指摘した。
専門家らは、この新型ロケットエンジンがICBMとの一体化に成功すれば、今回のテストは重要な意味を持つ可能性があると述べている。
韓国・ソウルの梨花大学に在籍するリーフエリック・イーズリー教授は、高推力の固体燃料ロケットエンジンの地上試験が北朝鮮側の主張に近い形で成功したとすれば、核兵器を搭載可能なミサイルの開発における大きな進展だとの認識を示した。
固体燃料ロケットは、北朝鮮がこれまでのICBM発射実験で使用した液体燃料ロケットよりも安定性に優れる。従ってICBMをより容易に移動させられるうえに、打ち上げにかかる時間も短縮できる。
当該の技術が配備されれば、北朝鮮の核戦力は用途の幅が広がり、一段と危険なものになると、イーズリー氏は警鐘を鳴らす。
ただ同氏によれば、実際に精度の高いミサイルを運用するにはまだいくつもの技術的なハードルがある。北朝鮮のメディアは自国の兵器の性能や開発のスケジュールについて誇張している可能性もあるという。
北朝鮮は過去にないペースで弾道ミサイルの発射実験を実施。CNNの集計によれば、今年に入り34回の打ち上げを行っている。1度に多数のミサイルを試射したケースもある。
このうち先月18日に発射実験を行ったミサイルついて、KCNAは「火星17」だと報道。火星17は液体燃料型のIBMで、米国全土に到達可能な射程を持つとみられる。