放射性物質入りカプセルが一時紛失、発見 豪州西部の路上で
専門家によると、セシウム137は近付くと皮膚のやけどや放射線中毒を起こしたり、命にかかわるがんのリスクが高まったりする恐れがある。特に、気付かないまま長時間被ばくすると危険が増す。
放射線防護についての助言を提供する地元企業、ラジエーション・サービセズWAによると、カプセルから1メートル以内の場所で1時間被ばくした場合の線量は約1.6ミリシーベルトで、通常の胸部X線撮影を約17回繰り返した数値に相当する。カプセルをつまんだだけで、指や周囲の組織に重大な損傷が起きる。
南オーストラリア大学のアイバン・ケンプソン准教授は最悪のシナリオとして、子どもがカプセルを拾ってポケットに入れてしまうケースを挙げる。まれな話だが、かつて実際に、もっと強力な放射性物資で起きたこともあるという。
ラジエーション・サービセズWAによれば、放射性物質は同州内で日常的に、問題なく運搬されている。
ロイヤルメルボルン工科大学のプラディプ・デブ講師は、オーストラリアの厳しい安全基準を考えるとカプセルの紛失は極めて異例の事態だと指摘した。
当局は放射線を検知する専用装置を車に搭載し、幹線道路を時速50キロのゆっくりとしたスピードで行き来させて、カプセルの捜索を続けていた。
州消防当局は30日、カプセルの運搬ルート全体を調べるには約5日かかるとの見通しを示していた。