まるで「ゾンビ映画」、ウクライナ軍兵士が語るワグネルとの戦い
第1陣が損耗し切るか進めなくなって初めて、ワグネルはより経験を積んだ戦闘員を送り込む。大抵は側面から、ウクライナ側の陣地の制圧を狙ってくる。
この攻撃は恐ろしいもので、現実と思えない経験だったと、アンドリーさんは振り返る。
「味方の機関銃手は正気を失いかけた。撃ったはずの敵が倒れないと言っていた。しばらくして血を流すか何かした後、ようやく倒れると」
アンドリーさんは戦闘の様子をゾンビ映画のワンシーンになぞらえる。「彼らは味方の死体を乗り越えてやってくる。死体を踏みつけにして」「攻撃の前に、何か薬物でもやっているとしか思えない。そんな感じだ」
CNNはこうした見方が真実かどうか独自に検証できていない。
アンドリーさんたちは敵に包囲され、弾丸も底を突いた。だが幸運にも、ワグネルは最終的に退却したという。ワグネルの攻撃に関するアンドリーさんの説明は、CNNが先週入手したウクライナ情報当局の報告と一致する。
その報告はワグネルの部隊について、陣地の奪取に成功後、火砲の援護によって蛸壺(たこつぼ)を掘り、獲得した陣地を固めるとしている。ただウクライナの傍受によれば、ワグネルとロシア軍の間には調整不足が散見されるという。
アンドリーさんの部隊は、ワグネルの戦闘員1人を捕らえたとしている。尋問記録によると、その戦闘員は技術者だが薬物の販売に手を染めた。自分の犯罪歴を抹消できると信じて、ワグネルへの参加を志願したという。犯罪歴が無くなれば、弁護士になるという娘の夢の実現に向けた問題が軽減すると考えたからだ。