イラン、受刑者多数の恩赦を発表 デモ参加者は除外か
(CNN) イラン国営メディアは5日、毎年行われている恩赦の一環として、受刑者多数が恩赦や減刑になると伝えた。ただ、全土で相次いだ抗議デモに参加して逮捕された人が対象になるかどうかは分かっていない。
国営メディアによると、受刑者数千人の刑罰について「恩赦または減刑」とする提案を、最高指導者のハメネイ師が承認した。
ただし政府系のタスニム通信によれば、「外部のためのスパイ活動、外国情報機関との直接的な関係、殺人または傷害、政府・軍・公共の施設に対する破壊行為や放火」の罪で有罪を言い渡された受刑者は、恩赦の対象にはならない。こうした罪状はいずれも、イランで服役している抗議デモ参加者や外国人に適用されている。
デモ参加者について司法長官は、「イラン国内の暴動で投獄された受刑者の多くは、敵の宣伝作戦の影響下で惑わされて悪事をはたらいた」と述べ、そうした受刑者は「許しを乞うている」と語った。
今回の恩赦について、イランの人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」は「プロパガンダ」と位置付け、デモ参加者の逮捕や有罪判決は正当化できないと強調して全員の釈放を求めた。
米国を拠点とする非政府組織(NGO)CHRIの関係者はイランの恩赦について、「これまでにも政治犯の釈放を大々的に宣言しておきながら、それに従わなかった過去がある」と指摘。一部は釈放されても、政治犯などの多くは引き続き服役させられるだろうと予想した。
ハメネイ師による恩赦の発表は、「イスラム革命の勝利」から44年に当たる今月11日を前に行われた。ハメネイ師は毎年この時期に恩赦を発表している。