イエメン沖で超大型タンカーを30年余放置、漏出防止で油移送へ

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イエメンの沖合に放置された大型石油タンカー「FSOセイファー」を捉えた衛星画像/DigitalGlobe/ScapeWare3d/Maxar Technologies/Getty Images

イエメンの沖合に放置された大型石油タンカー「FSOセイファー」を捉えた衛星画像/DigitalGlobe/ScapeWare3d/Maxar Technologies/Getty Images

(CNN) 国連は18日までに、中東イエメンの沖合で30年間以上、放置状態となっている超大型石油タンカー「FSOセイファー」が積載する原油約100万バレルを他の巨大タンカーに移す計画を明らかにした。

船体が老朽化しており、油の漏出による海洋汚染発生などの防止措置となっている。国連は原油を引き取る二重船体式の巨大タンカーを既に購入した。このタンカーは新造で価格は5500万米ドルだったという。

国連開発計画(UNDP)のシュタイナー総裁によると、セイファーは建造から47年経過し、必要な維持管理作業などはイエメンでの内戦が原因で2015年以降、止まっている。

国連によると、大規模な油流出が起きた場合、紅海の手つかずの珊瑚礁(さんごしょう)、沿岸部のマングローブや他の海洋生態系の破壊につながる恐れがある。周辺の住民数百万人規模が高度の大気汚染にさらされる危険性に加え、内戦の影響で国民1700万人が食料援助を既に必要としているイエメンへの食料や燃料補給などが断ち切られる事態も危惧されている。

イエメンで人道援助作業などに当たる国連関係者は、油漏出が発生すれば除去作業などには約200億ドル(約2兆6400億円)かかり、20万カ所の地域社会に被害を及ぼし生計手段を奪うと指摘。アフリカ大陸の沿岸部にも損害が広がり、海運にも影響が出て、25年間は回復しないとみられる海洋汚染を招く可能性があるとした。

国連によると、セイファーが積んでいる原油の量はタンカー「エクソン・バルディーズ」が以前に起こした事故での原油流出量の4倍となっている。タンカーの漏出事故としては5番目の規模の災害になり得ると警告した。

シュタイナー総裁によると、油の移送作業は5月に計画。移し替えた油の処理方法はまだ決まっていないが、関連の協議は続いているとした。

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