イスラエル首相、国防相を解任 司法改革めぐる政治の混迷深まる
物議を醸す司法制度改革案
ネタニヤフ政権の司法制度改革案では、政府が裁判官の任命をコントロールし、議会は最高裁判所の決定を覆せるようになる。
政権は最高裁を視野が狭くエリート主義で、国民をもはや代表しているとは言えない機関だとみなしている。最高裁を抑制するために改革が必要だと主張する。
一方、改革案に反対する人々は、同案がイスラエルの民主主義の根幹を脅かすと批判している。
軍の予備役の抗議は政権にとって特に心配の種となっている。予備役は平時でも定期的に訓練や就役のために招集されている。
極右のベングビール国家安全保障相は、ギャラント氏の25日の演説後に同氏の解任をネタニヤフ氏に求めた。ベングビール氏はツイッターで、ギャラント氏について「抵抗を呼びかけ(国防軍を)交渉の道具に使う無政府主義者のゆすりと脅しに屈した」人物であり、「右派の有権者の投票で選ばれながら、実際には左派の政策課題を推進している」などと記した。
ネタニヤフ氏に対する圧力が高まる中、イスラエルの裁判所はネタニヤフ氏を法廷侮辱罪に問う申し立てを受け、同氏に1週間の応答の猶予を設定した。
この申し立ては市民団体の「クオリティー・ガバメント運動」が行った。検事総長がネタニヤフ氏に対し、同氏の司法改革への直接関与は違法で、利益相反に関する裁判所命令に違反するものだとの公開書簡を送ったことを受けた動きとなっている。
司法改革案は一部がすでに議会を通過している。具体的には、首相を職務不適格と宣言する権限を裁判所から奪う法案だ。
ネタニヤフ氏を批判する人々は、同氏が司法改革を進めるのは自身が被告となる汚職の裁判が理由だと主張する。同氏は汚職を否定している。
ネタニヤフ氏は23日の演説で「両サイド」の懸念に対応する姿勢を示したが、同時に改革案を進めるとの意思も表明。引き下がる様子はない。
リクードのダニー・ダノン議員はCNNに対し、党内で立法化を止めるのに十分な離反者が出るかは議員が集まる27日にならないとわからないと述べた。
議会の全120議席のうち連立与党は64議席を占める。リクードから5人の離反者が出れば半数の60人を切るが、議員の欠席などで法案通過に必要な票数は変わる。