4歳児が襲われ死亡、野犬問題に取り組むインドの課題
しかし人が犬に襲われ、特に子どもが被害に遭う中で、この法律に異議を唱える声も出始めた。
16年には南部ケララ州で野犬に襲われる人が相次いだことを受け、野犬の殺処分を求める運動が地元ニュースで取り上げられた。
これに対して動物の権利を訴える活動家が反発し、別の解決策を講じるよう当局に要請。後に計画は破棄された。
法律では野犬の避妊・去勢やワクチン接種を義務付けているが、厳格に徹底させる措置がないと専門家は指摘する。
「この国には野犬の問題だけでなく、狂犬病の問題もある。つまりその両方に対応しなければならない」。ニューデリーの動物保護団体代表はそう話す。
インドの狂犬病問題
世界保健機関(WHO)によると、人の狂犬病の99%は犬から感染している。中でもインドは世界の狂犬病による死者の36%を占める。
狂犬病を減らす対策の鍵を握るのは、できるだけ多くの野犬を捕獲してワクチンを接種することだ。
しかし動物保護団体の専門家は、インドの対策は不十分だと話し、「犬の避妊・去勢の際に1回だけワクチンを接種して放す。野犬のワクチン接種は生涯でその一度きりで、それでは不十分だ」と訴える。
リソースも欠如しており、政府機関が野犬のワクチン接種を増やすのも難しい状況だと同氏は指摘。それでも犬にかまれたらどうすべきか、防ぐためにはどうすべきかについて、政府が国民を啓発する必要があると強調した。
政府によると、犬にかまれる被害に遭った国民は20年、680万人を超え、12年の390万人から激増した。しかしこうした数字は恐らく全容をとらえていないと専門家はみている。