安価なウクライナ産穀物の輸入に農家が抗議行動、中東欧諸国
(CNN) 中東欧諸国の農業従事者がウクライナから安価な穀物類が流入して国内産の価格を引き下げ、地元の農家に打撃を与えるとして抗議行動に訴える騒ぎがこのほどあった。
地元メディアによると、ルーマニアとブルガリアとの国境線ではトラクターを使って車両の往来や検問所の業務妨害を図り、ウクライナのトラックの両国への入国を阻む措置に出た。
中東欧の農家はウクライナ産の穀物とは価格面で太刀打ちできないと主張。欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会に補償措置も要求している。
ウクライナは豊穣(ほうじょう)な「欧州の穀倉地帯」とも形容され、大量の穀物を産出し輸出してきた。しかし、侵攻したロシアが黒海の主要の積み出し港を封鎖したため穀物輸出が立ち往生する事態となっていた。
欧州委は世界規模の食料安全保障を脅かすと危機感を募らせ、昨年5月にウクライナ産穀物を輸出させる「連帯回廊」を設置。同時に同国による輸出に関連する全ての課税や割当量も廃止した。この優遇措置が結果的に、安価なウクライナ産穀物が欧州になだれ込む事態につながっていた。
欧州農業組織委員会(COPA)・欧州農業協同組合委員会(COGECA)は、市場の構造に甚大なゆがみをもたらすことになったとも評した。
この中で欧州委は最近、ウクライナ産の穀物の無税かつ割当量なしの輸入を2024年6月まで延長するとの決定草案を発表。ポーランドの農相がこれに反発し辞任する騒ぎともなっていた。
同農相は声明で、ポーランドはスロバキア、ルーマニア、ハンガリーやブルガリアの各国政府と共に欧州委に対し「ウクライナ産穀物の無税輸入などの問題に伴う保護措置の発動」を促したとも主張していた。