ロシア新興財閥から「ひどい」戦争の批判、ウクライナ侵攻巡り

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ロシアの新興財閥の一人が「ひどい戦争」と批判した/Telegram/ADREY KOVALEV

ロシアの新興財閥の一人が「ひどい戦争」と批判した/Telegram/ADREY KOVALEV

(CNN) ロシアの新興財閥(オリガルヒ)の一人、アンドレイ・コバレフ氏が8日、政府のウクライナ侵攻や侵攻行為が自国にもたらした結果を批判した。

コバレフ氏はSNS「テレグラム」で共有した動画で、自分は当初、ロシア軍がウクライナ軍の防衛を打ち破り、キーウを2、3週間以内に掌握すると信じていたと発言。それが現実とならなかったことに驚きを示した。

コバレフ氏はウクライナ侵攻以降にロシアが被った大きな損失を指摘。侵攻当初に到達した地点からのロシア軍の撤退、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の沈没、クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋の爆発、クレムリン(ロシア大統領府)に対する無人機攻撃と主張される事案に言及した。

コバレフ氏の発言は自身が会長を務める企業家団体の生配信で行ったもの。同氏は「これは特別軍事作戦ではなく、ひどい戦争だ」と述べた。

さらに「世界全体が我々に敵対している。122カ国が我々を侵略者と認識する票を入れた」とも語り、先月国連総会で採択された決議に触れた。ウクライナに対する戦争を「ロシア連邦による侵略」と位置付けるこの決議には、中国とインドも賛成票を入れた。両国はこれまでロシアによる全面侵攻を非難していなかった。

テレグラム上にある事前録画した別の動画では発言のトーンを少し抑え、戦争での勝利を確実にするため、プーチン大統領が「国家企業家の奉仕の呼びかけ」をすべきだと述べた。

コバレフ氏は不動産実業家で「全ロシア企業家運動」の会長を務める。同団体のホームページによれば、公職の経験もあり、モスクワ市議会の議員だった時期もあるという。

ロシアでは政府への異議を唱える余地はほとんどない。プーチン氏が情報空間の統制を強め、市民の多くはウクライナ侵攻の正確な情報にアクセスできない。公然と異議を唱えようとすれば長期の禁錮刑かそれ以上の刑罰を受ける可能性がある。

だが、一部のロシア人の間では、つまずきの多い侵攻の今後の行方に動揺が広がり始めている兆候がある。歌手のアーラ・プガチョワ氏は昨年9月、ロシア兵が「我々の国をのけ者にする幻想の目的のために死ぬ」のを止めるように訴えた。

コバレフ氏の批判は1945年のナチス・ドイツ降伏を記念する5月9日の「戦勝記念日」前日に行われた。

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