ザポリージャ原発の安全に強い懸念、住民避難で IAEA
(CNN) ウクライナ中南部ザポリージャ州で原子力発電所に近いロシア占領地の住民にロシアが避難命令を出したことを受け、国際原子力機関(IAEA)が懸念を表明した。
ロシアが任命したザポリージャ州の行政トップは8日、子ども660人を含む1600人以上が、ロシアの占領下にある同州の前線の町から避難したと語った。
欧州最大規模のザポリージャ原発はロシア軍に占拠されたものの、運営の大部分はウクライナ人の作業員が担っている。
住民の避難は5日から始まり、エネルホダルなど18地区の住民が避難した。
IAEAのグロッシ事務局長の声明によると、原発の作業員のほとんどはエネルホダルに住んでいる。事務局長は「同原発が直面している非常に現実的な核の安全・安心リスク」について、従業員やその家族の「緊迫感、ストレス、困難な状況」が強まっているとして強い懸念を表明。「重大な原子力事故の脅威と、それに伴う住民や環境への影響を阻止するため、今すぐ行動しなければならない」と警告した。
現場の責任者は、原発の運営に当たる作業員は避難しておらず、核の安全と安心を守るために全力を尽くしていると強調。6基の原子炉は全て運転停止状態にあるといい、グロッシ事務局長によれば「核の安全・保安規定に従って」設備のメンテナンスを続けているという。
現地からの報道によれば、ドニプロ川東岸にあるザポリージャ原発は前線に位置していることから、周辺の町や原発付近は頻繁に砲撃を受けている。