ワグネルのトップ、モスクワ進軍中止を命令 南部の軍本部出てベラルーシへ移動か
(CNN) ロシアの民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏は24日、モスクワに向けて進軍していた自身の傭兵(ようへい)部隊に引き返すように命じた。
プリゴジン氏は音声録音の中で「今は流血の事態になりうる時だ。ロシア人の血が一方の側から流れることへの責任を理解し、我々は計画に従い車列を方向転換させ、反対方向のキャンプへと去る」と述べた。
隣国ベラルーシの政府は、ルカシェンコ大統領がプリゴジン氏との間でモスクワへの進軍を中止する合意を結んだと発表した。
ベラルーシ政府によると、ロシアのプーチン大統領とルカシェンコ氏はプリゴジン氏との交渉の結果を電話で協議した。ルカシェンコ氏が結果の詳細をプーチン氏に伝え、プーチン氏はルカシェンコ氏の働き掛けに支持と感謝の意を示したという。
SNSのテレグラムに投稿された映像には、プリゴジン氏がロシア南部ロストフナドヌーの軍本部を去る様子が映っている。CNNが撮影地点を確認したこの動画で、プリゴジン氏は車両の後部座席に座っている。群衆が歓声を上げ、ある人物が車に近寄ると車両は停止。プリゴジン氏と握手する様子が見られた。
ロストフナドヌーにある南部軍管区本部から退却し基地に戻るワグネルの戦闘員=24日/Stringer/Reuters
プリゴジン氏は群衆に向けて「幸運を祈る」と述べた後、車は走り去った。
国営RIAノーボスチ通信は目撃者の話として、プリゴジン氏が戦闘員と共に本部を出たと伝えた。プリゴジン氏が現在向かっている先は不明だが、ベラルーシに移動して罪には問われないと予想される。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プリゴジン氏に対する刑事訴追が取り下げられ、隣国ベラルーシに送られると発表。モスクワ進軍を中止する合意の中で、プリゴジン氏がプーチン氏から出国の保証を得ていると明かした。モスクワなどに導入が発表されていた「対テロリスト作戦体制」は間もなく解除されるとも述べた。
テレグラムには、ワグネルの部隊が軍本部から引き揚げ、部隊の車列が群衆の歓迎を受けている様子を捉えた複数の動画も投稿されている。RIAノーボスチ通信によると、部隊の退却前にはロシア軍警察の車両が本部に到着していた。