ウクライナの反転攻勢が思惑通りに進まない理由
「本格的な戦闘はこれから」
ウクライナ当局者は反転攻勢が現在進行中だとしながらも、本格的な反撃はこれからだと再三発言してきた。
ウクライナのハンナ・マリャル国防次官も先月、ウクライナが予備兵の一部を手元に残しており、「本格的な反撃」はまだこれからだと述べた。
またISWによれば、ロシアの軍事ブロガーが投稿した前線での状況からも、「現在ウクライナ軍が領土を一気に奪還するような大規模な作戦を仕掛けていない」ことが窺(うかが)えるという。
代わりにウクライナ軍は、1000キロメートルにわたる前線の各方面で小規模な攻撃を展開し、ロシア軍の予備兵を消耗させてから本格的な反撃に乗り出そうとしているようだ。
一方ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、戦略的に部隊の配置を進めたい考えを述べた。
「1メートル、1キロメートルが命取りになる」「急ピッチで進めることも可能だが、戦場には地雷が埋まっている。人材は国の宝だ。だからこそ非常に慎重に進めている」(ゼレンスキー大統領)
ゼレンスキー大統領は3日、この1週間が前線の部隊にとって非常に厳しかったことを認めた。「だが我々は前進している。一歩ずつ、着実に進んでいる!」と、大統領は声明を発表した。
ミリー議長は反転攻勢が10週間にまで及ぶと予測し、状況を見守る上で引き続き忍耐が求められるとの考えを強調した。
「以前も言ったように、これは6週間、8週間、10週間に及ぶだろう。非常に厳しく、非常に長く、そしてまさしく非常に凄惨(せいさん)な戦いになるだろう。何人も戦況の一切について、いかなる幻想も抱くべきではない」