国連のシリア支援、延長にロシアが拒否権 米仏英が非難
(CNN) トルコからシリアへ人道支援物資を届ける国連の活動を延長するとした案にロシアが拒否権を行使したことに対し、米国とフランス、英国から非難が集中している。
越境支援はシリア北西部の反体制派支配地域が対象。国連安全保障理事会で11日、トルコ国境を越える搬入許可の延長案が採決にかけられた。採決でロシアが拒否権を行使し、国連機関や人道団体は活動が継続できなくなった。
米国務省のミラー報道官は11日の採決後、ロシアの非人道的な拒否権に深く失望しているとコメント。米国は安保理が12カ月の延長を認めるよう、繰り返し呼び掛けてきたと強調した。
ロシアは安保理に6カ月の延長を提案したが、米英仏の反対で否決されていた。妥協点として9カ月延長する案も出たが、これも否決された。
ロシアとシリアのアサド政権は、人道支援活動がシリアの主権と領土の一体性を損ねるとの立場から、食料や物資は国内から供給されるべきだと主張してきた。
シリア政権は11日、国営シリア・アラブ通信(SANA)を通してロシアの拒否権行使を称賛した。SANAはサッバーグ国連大使の話として、欧米諸国は人道活動を政治化し、シリアに圧力をかけて脅迫する手段に使っていると伝えた。
シリアの反体制派支配地域では2月の震災後、越境支援が特に重要な役割を果たしてきた。先月9~22日の人道状況を調べた国連の報告書によると、支援物資は410万人に届けられ、その8割を女性と子どもが占めていた。報告書は12カ月の延長が必須だと指摘した。
シリアで活動する支援団体の共同声明は、延長が認められなければ、人道支援に頼っている何百万人もの命が危険にさらされると主張している。