ロシア軍潜水艦の元艦長、ジョギング中に射殺 ランニングアプリで追跡か
(CNN) ロシア軍黒海艦隊の潜水艦の元艦長が10日、ジョギング中に射殺された。ロシアメディアが伝えた。襲撃犯は人気のランニングアプリで元艦長を追跡していた可能性があるという。
国営タス通信によると、スタニスラフ・ルジツキー氏はロシア南部クラスノダールで「何者かに」殺害された。犯行動機についての捜査が進められている。
タス通信によると、複数の容疑者の身元がすでに割り出されているという。ロシアメディアはその後、襲撃犯はランナーやサイクリング愛好者の間で広く使われているアプリ「ストラバ」を利用し、ルジツキー氏の動きを追跡していた可能性があるとも報じた。
ストラバのアプリには、ルジツキー氏がジョギングやサイクリングに使っていたルートが本人の名前とともに表示されている。同氏がクラスノダール赴任中に定期的に使っていたジョギングのルートの一つが、殺害現場となった公園だった。
ロシアメディアは、襲撃犯は「非常に入念に殺害計画を練っていたため、襲撃の瞬間はどの防犯カメラにも映っていない」と報道。公園内のスポーツ施設付近で待ち伏せしていたとも報じた。
ストラバのプロフィルには、ルジツキー氏が2014年にもクリミア半島セバストポリでサイクリングをしていたことが示されている。セバストポリはロシア黒海艦隊の拠点。
CNNはストラバのプロフィルの信ぴょう性について独自に確認できていないが、アプリ上にはルジツキー氏の写真が多数掲載されている。
ウクライナ国防省情報総局はSNSテレグラムで、ルジツキー氏の射殺時の状況を異例なほど詳しく公開。ただ、同氏の死に関与したと明示的には主張しなかった。
ウクライナの声明やロシアメディアの報道によると、ルジツキー氏は黒海艦隊のキロ型潜水艦の一つの艦長を務めていた人物で、この潜水艦は巡航ミサイル「カリブル」を発射可能だった。
潜水艦発射ミサイルによる攻撃はウクライナの都市に甚大な被害をもたらしており、1年近く前には中部の都市ビンニツァで、子ども3人を含む数十人が亡くなった。
ロシアメディア「バザ」が遺族の話として伝えたところによると、ルジツキー氏はウクライナでの戦争に「一切参加しておらず」、21年に除隊を希望していたという。
ルジツキー氏は21年12月、ロシア軍に除隊届を提出。最終的に22年8月に除隊となり、クラスノダールの行政府に職を得ていた。