ワグネルの部隊と核弾頭はどこに? ベラルーシ移動の兆候を探る西側情報機関
(CNN) ロシアの民間軍事会社ワグネルによる反乱を受け、米欧の当局者は予測不能さを増すベラルーシの動きを注視している。ベラルーシはロシアの主要同盟国であり、西側当局者の間では、国外追放されたワグネルの要員に新たな拠点を提供したり、ロシアの核兵器の集積地となったりする可能性が懸念されている。
だが今のところ、米欧の当局者はどちらのシナリオについても明確な兆候は目にしていない。当局は反乱後にベラルーシの首都ミンスク郊外に出現した野営地とみられる施設を注視しているものの、ワグネルの部隊が大挙してベラルーシ入りした様子はない。
ベラルーシのルカシェンコ大統領は6日、「民間軍事会社ワグネルがここに来ない可能性もある」と説明。CNNの取材に対し、プリゴジン氏はベラルーシ入りさえしておらず、ロシア国内にいると主張した。
ロシアのプーチン大統領は先月、戦術核兵器の保管に必要な施設の準備が今月7日までに整うと説明したが、欧米当局者はその兆候も目にしていない。当局者によると、ベラルーシは核兵器の格納に使う適切な施設をまだ建設していないとみられ、それを技術的に可能にするだけでも数カ月かかる公算が大きい。
入手可能な衛星画像を見ても、ロシアの核施設で通常見られるような準備や警備が行われている形跡はない。米科学者連盟によると、ロシアは世界最大の核兵器保有国で、配備済みまたは備蓄中の核弾頭は4477発、戦術核は約1900発に上る。このうち何発をベラルーシに配備する計画なのかは不明だ。
「我々はロシアの鏡がつくり出した霧の中にいる。プーチン氏がどういう動きに出るのか、我々には分かっていない」。戦略国際問題研究所(CSIS)でロシア・欧州研究の責任者を務めるマックス・バーグマン氏はそう語る。
「プーチン氏はベラルーシに配備しなくても戦術核兵器を使用できる」とバーグマン氏。「ただ、戦術核がワグネルの戦闘員と同じ場所に配置される可能性もあり、米国にとっては気がかりだ。とはいえ、そうした状況になるのは大分先のことだと見られる」