最新の気候変動対策、サハラ砂漠で藻を育てて埋める
他にも植林、バイオ炭、バイオエネルギーなど、地球上の植物群が二酸化炭素を吸収する自然の力を利用した回収・貯蔵策が模索されている。だがインフラ整備の必要性や、二酸化炭素を隔離するまでに時間がかかるなど、それぞれにメリットとデメリットがある。
テイラー氏によれば、ブリリアントプラネット社の方法を使えば、年間1ヘクタール当たりで見た場合、一般的な欧州の森林が吸収する量の30倍の二酸化炭素を永久的に除去できるという。
市民運動「ユース・フォー・クライメット・モロッコ」の創設者で、環境工学者のファトナ・イクラム・エルファン氏はメールインタビューで、藻を使った解決策を「斬新で将来性のある戦略」「差し迫る世界的問題の対策として、自然のプロセスを利用した画期的な方法の見本」と表現した。
モロッコの地理的特性はまさに最適だと同氏は言う。「二酸化炭素の回収・貯蔵計画に転換が可能な広大な砂漠地帯が、国内にはいくつもある」
とはいえ、エルファン氏は警鐘も鳴らす。「微小藻類の大量生産によって現地の生態系が破壊され、水資源が減少し、生息地が変化する可能性もある」と同氏は言う。「持続的な土地管理対策、効果率な水の消費、環境再生、法令順守、地元住民の参加、継続的な監視が必要だ」
生育の準備
アクフェニルにあるブリリアントプラネット社の実証試験場は現在3ヘクタール。来年には施設を30ヘクタールに拡張し、将来的には200ヘクタール、さらには1000ヘクタールの養殖場を建設する計画だ。
テイラー氏によれば、1000ヘクタールが商用化のベースライン。テイラー氏は、実現すれば、地元の熟練労働者を中心に250人の雇用を創出できるだろうと述べた。
ブリリアントプラネット社は実証試験の運営と拡張の資金を集めるために、「カーボンクレジット」を販売している。7月にはIT企業世界大手のブロック社と、27年までに1500トン分の二酸化炭素を除去するという初の大口契約を結んだ。
カーボンオフセット制度は人気が高まっているが、透明性や法規制の欠如が批判の対象となっている。また効果のほども疑わしい。