福島第一原発の処理水、24日にも放出開始へ
東京(CNN) 東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水の海洋放出が、早ければ24日にも始まる見通しとなった。
22日の閣議で正式に決定した。岸田文雄首相は「支障がなければ」24日に開始すると表明した。
福島第一原発では、東日本大震災の事故で溶けた核燃料の冷却水に地下水や雨水が混ざった汚染水が継続的に発生し、そこから多くの放射性物質を取り除いた処理水が、敷地内のタンクにたまり続けている。
当局は廃炉計画の一環として、処理水を薄めて海へ放出する方針を決めた。国際原子力機関(IAEA)は先月、放出が人や環境に及ぼす放射線の影響は無視できる程度にとどまると結論付けた。
日本政府はこれを受けて放出計画を進めてきたが、近隣の中国や太平洋諸島が安全性への懸念を表明。韓国では放出に反発する市民らが抗議デモを展開した。一方、韓国政府は放出計画に理解を示している。
日韓両国の漁業者も、消費者の魚離れに強い懸念を示す。日本の一部地域からの海産物輸入を禁止する動きも出ている。岸田氏は21日、国内漁業者団体の代表と面会して理解を求めた。
処理水には、現在の技術で除去できない放射性物質「トリチウム」が含まれている。ただ当局によれば、放出時の濃度は極めて低く、国際安全基準をはるかに下回る。トリチウムは米国などの原発からも排出されているうえ、自然界の雨水や水道水にも含まれている。
とはいえ、海洋放出によるリスクをめぐっては、専門家の間でも意見が分かれているのが現状だ。
処理水は海底トンネルを通して沖合で放出され、IAEAなどの第三者機関が前後の状況を監視する。