活動家殺害巡るカナダのインド非難、背景にファイブアイズの諜報 米駐加大使
(CNN) 6月にカナダ国内で起きたシーク教活動家の殺害にインドが関与した可能性があるとのカナダ政府の非難は、英語圏5カ国で構成する機密共有の枠組み「ファイブアイズ」のネットワークが入手した情報に基づくものであるとの見方が浮上した。この非難をきっかけに、カナダ・インド両国の関係は悪化している。
米国のデービッド・コーエン駐カナダ大使が24日、現地テレビ局とのインタビューで明らかにした。
この中でコーエン氏は、「ファイブアイズの提携国が共有する諜報(ちょうほう)があったと確認している。それが一助となり、カナダ側は首相が声明を発表するに至った」と述べた。
ファイブアイズは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国が結ぶ諜報共有の協定。当該の共有された諜報が米国から寄せられたものだったのかどうかについて、コーエン氏は確認を控えた。
カナダのトルドー首相は18日、同国籍を持つ著名なシーク教指導者のハルディープ・シン・ニジャール氏の殺害にインド政府の要員が関与したという「信じるに足る主張」を当局が調査中だと明らかにした。
これに対し、インドは「不合理で何らかの動機に基づくもの」と疑いを否定。インド外務省は、カナダがインド政府の関与を裏付ける「具体的な情報」を示していないと非難している。
両国は共に相手国の高位の外交官を追放した。米国にとっての主要な同盟国の間で、際どい対立が生じるとの見通しも浮上する。
インドは21日、在カナダの外交官に対する「安全保障上の脅威」があるとしてカナダ国民向けのビザ(査証)発給を停止した。
コーエン大使はインタビューで、米国がインドに対し、今回の非難を巡る懸念を表明したと明らかにした。インド政府に向け、カナダの捜査に協力するよう求めたという。
「仮に非難の内容が事実であれば、ルールに基づく国際秩序に対する深刻な違反となる可能性がある」(コーエン氏)
一方、カナダのブレア国防相は24日、CBCのインタビューに答え、ファイブアイズの連携が「極めて重要」だと指摘。「非常に信頼できる諜報に基づき、深い懸念を抱いている」としつつ、今回の問題に関する情報源の特定は控えた。