世界を覆う抗議の渦 ユダヤ人警備強化、パレスチナ支持集会の禁止も
欧州で最もユダヤ系の人口が多いフランスでは、エマニュエル・マクロン大統領が即座にハマス非難を表明し、改めてイスラエルとの連帯を強調した。
フランス内相は11日、シナゴーグや学校などユダヤ教の約500施設を守るため、全土で警官1万人を配備したと発表した。さらに、反ユダヤ的脅迫や行動に関連して7日以来、20人以上を拘束したことを明らかにした。
パリ警察のトップは10日、12日に予定されていたパレスチナ支持派の二つの集会を禁止した。「そうした集会は、主に反ユダヤ的性質の行為やスローガン、行動の舞台となり、人種的憎悪をかき立てて(ハマス)テロ攻撃の口実とされる」との懸念を理由としている。
リヨンやマルセイユなどの警察も、「公共の秩序」を理由としてパレスチナ支持の抗議運動を禁止した。一方、パリで9日に行われたイスラエル支持のデモ行進は許可された。
欧州では英国やドイツなども、ユダヤ系住民に対する報復の不安が高まる中、治安対策が強化されている。
7日のハマスの奇襲を受け、ベルリンやロンドンでパレスチナの旗を掲げて歓迎する様子の人々を撮影した動画がSNSに投稿されると、当局が即座に対応した。
ドイツのオラフ・ショルツ首相は8日、「イスラエルに対する卑劣な攻撃が我が国で賞賛されることは容認しない」と強調。ベルリン警察もユダヤ教施設に対する警備を強化した。
英ロンドン警視庁も、首都全域でパトロールを強化している。
スエラ・ブレイバマン英内相はユダヤ人保護団体と会談し、政府はユダヤ人を守るために全力を尽くしていると強調した。