イスラエル軍予備役、ガザとの境界に集結 地上侵攻の準備か
イスラエル南部(CNN) イスラエル軍に関して、パレスチナ自治区ガザ地区との境界に大規模な動員をかけている兆候が至るところで見られる。今後起こり得る地上侵攻に向けた準備の可能性がある。
幹線道路では軍用車が目に付く。弾丸を満載したトラックや装甲兵員輸送車、戦車が走行し、民間の乗用車やバスにも予備役が多数乗り込んでいる。彼らは向かう先の基地で訓練に従事し、準備を整える。イスラエル軍はイスラム組織ハマスのテロ攻撃への対応で次の段階へ移行するとみられている。
隊列を組んだ装甲兵員輸送車は、ガザに面した野原に止まって微動だにしない。10キロも進めばガザに入れる位置だ。近くでは大砲がガザに向けて一定の間隔で砲撃を行っている。
イスラエルはこのほど、史上最多の部類に入る30万人以上の予備役の動員を発表した。これに先駆けネタニヤフ首相は自国による応戦を明言。敵の理解を超えた兵力と範囲で反撃すると述べていた。
招集がかかったのはイスラエルの人口の4%弱に相当する。その数は人口で34倍の規模を持つ米国の8月時点での予備役33万1992人にほぼ匹敵する。
今回の動員に応じた予備役の中には、感情的な動機に言及する人が複数いる。過去30年間の軍事作戦に全て参加したというアーノン・カミルさん(62)は、今回は全く状況が異なると示唆。全ての国民が周囲の誰かを失ったと、声を詰まらせながら語った。
12日夜、ネタニヤフ氏のオフィスはハマスの戦闘員に殺害されたとする複数の乳児の写真を公開した。
別の予備役の男性は子どもが殺害、拉致されている現状への怒りを口にしたが、その声は途中で途切れた。
一部免除されるケースはあるものの、18歳以上の全イスラエル国民はイスラエル国防軍(IDF)への入隊が義務づけられている。兵役を終えると多くは長期間の海外旅行に出かけるが、これがある種の兵役後の通過儀礼となっている。ただ先週末以降、海外に暮らす多くのイスラエル人は既に帰国し、葬儀に参列したり家族を慰めたりしている。帰国して兵役に就く人々もいる。
イスラエルがガザへの地上侵攻を実際に行うのかどうかは不明。遂行のタイミングも判然としない。CNNの取材に答えた予備役の多くは、配備される前に訓練を受けることになると話した。しかし最終的にどこへ送り込まれるのかについて、疑いを持つ人は一人もいないようだった。