ハマスから解放の高齢女性が記者会見 「地獄を見た」と語る
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織「ハマス」の人質になり、23日に解放されたイスラエル人の女性が、翌日の記者会見で拘束中の経験を振り返った。
ヨチェベド・リフシッツさん(85)は、ハマスがイスラエルに奇襲攻撃をかけた7日から2週間以上、ハマスの人質になっていた。24日にイスラエルのテルアビブで会見に臨み、「地獄を見た」とヘブライ語で語った。同席した娘が通訳を務めた。
リフシッツさんは、横向きに寝かされた体勢でオートバイの後ろに乗せられ、ガザの地下トンネルへ連れて行かれた。その際たたかれることもあったという。
「苦痛な行為だった。彼らは我々をゲートの中に連れ込んだ。私はオートバイの横に寝かされた状態で、移動であざができた」(リフシッツさん)
地下に「クモの巣」のような巨大なトンネル網があり、湿った地面を数キロ歩いた。その先に医師や救急隊員らが待ち構えていた。
リフシッツさんは当初25人ほどのグループに入れられたが、その後さらに出身集落の近い他の4人とともに小グループに移された。
危害は加えないと告げられ、必要な薬を与えられた。病気にならないよう衛生面も配慮され、マットレスの上で眠った。トンネルの中は全体が湿っていたという。
ガザでは今も200人以上の人質がハマスに拘束されている。リフシッツさんは、「全員が帰宅するまで終わりにはならない」と話した。
リフシッツさんの批判の矛先はイスラエル国防軍(IDF)や治安機関のシンベトにも向いた。ハマスは事件の3週間前から野原を焼いたり、風船爆弾を飛ばしたりして警告を発していたが、IDFやシンベトはそうした脅しを「深刻に」捉えていなかったという。
ガザとの境界に高額の費用をかけて設置されたフェンスも、リフシッツさんの住んでいたキブツ(農業共同体)のニルオズを守るのに何の役にもたたなかったと批判。ハマスの戦闘員はフェンスを突破し「群れをなして」入ってきたと述べ、「非常に困難でいやな」状況だったと感情を高ぶらせて振り返った。
イスラエル当局によれば、ニルオズの住民の4分の1以上が死亡または行方不明となっている。