乳幼児4人の死めぐり母親が誤って服役、20年後に有罪評決破棄 豪
ブリスベン(CNN) オーストラリアで我が子4人を殺害したとの罪で誤って有罪となり、20年間服役した母親の有罪評決が14日、正式に破棄された。母親の弁護士は、司法改革と「相応な」補償を求めている。
キャスリーン・フォルビッグさんは6月、元判事の勧告に基づいて放免された。この元判事は、2003年に行われたフォルビッグさんの裁判で提示された証拠を全て再検証し、有罪評決に「合理的な疑い」があると突き止めた。
しかしフォルビッグさんの潔白を証明するには、ニューサウスウェールズ州刑事控訴裁判所による正式な裁定が必要だった。判事らで構成する委員会は14日、フォルビッグさんについて、全ての罪状で無罪とするべきとの見解で一致。本件は同国史上最悪の冤罪(えんざい)事件だと結論づけた。
裁判所の外では、フォルビッグさんが感情のこもった様子で支持者らへの感謝の言葉を述べた。支持者らはこれまで州政府と司法当局を懸命に説得。新たな科学的証拠から、フォルビッグさんの有罪評決には一段の精査が必要だと訴えてきた。
フォルビッグさんは03年、殺人3件と過失致死1件で有罪を言い渡された。フォルビッグさんの子ども4人は1989年からの10年間、いずれも2歳未満で相次ぎ死亡していた。
フォルビッグさんが子どもたちを殺害したとする物的証拠は提出されなかったが、陪審は4人が2歳前に自然死する可能性は非常に低いと判断。本人の日記に、罪の告白と解釈できる記述があったことも根拠となった。
その後の調査でも、有罪に合理的な疑いの余地はないとの結果が出ていたが、昨年始まった新たな調査で、子どもたちの死因を説明する遺伝子上の証拠が浮上。合理的な疑義が生じたとして、判事が放免を勧告していた。