催涙ガス、ドローン、囚人軍団:ウクライナ兵が前線で見たロシアの猛攻
ロシアの囚人徴集兵
「負傷者が1人増えるだけで状況が変わる」とイーホリ。「全体の士気に影響が出る。自分にとっては頭の痛い話だ」
冬の戦いは殺伐どころの話ではない。数カ月前から戦闘が激化しているロボティネ北部では、ウクライナ軍のドローンは数の上でロシアに負けている。最近では、ウクライナの塹壕のひとつにロシア軍が1日に40基ものドローンで攻撃を仕掛けたこともある。
ウクライナ軍を待ち構えているのは、ロシアが容赦なく送り込む囚人徴集兵だ。しかるべき訓練としかるべき装備を身につけ、装甲車に援護されながら、時には――ウクライナ側の推測だが――戦闘力を高めるために複数の薬を盛られている。ウクライナ兵がCNNに見せたドローンの映像には、負傷して両脚を失ったロシア兵が、おそらく痛みを感じていないのだろう、不気味な笑みを浮かべていた。
敵に包囲された塹壕で戦うウクライナ兵たちは、別の脅威にも直面しているという。すなわちガスの兵器使用だ。CNNが取材したウクライナの衛生兵によると、この地域では数週間で9件報告されている。そのうち1件では、ドローンがウクライナ側の前線に引火性の高い苛性ガスを落とし、兵士1人が戦死した。攻撃を受けた兵士によると、ガスで混乱を引き起こした後、通常の砲撃やドローン攻撃が続くという。
ウクライナの諜報(ちょうほう)は、ロシア軍が使用しているのはCSガスの一種だとCNNに伝えた。
全米疾病対策センターによると、CSガスとは催涙ガスとも呼ばれる暴動鎮圧剤の一種で、眼や鼻や口、肺や皮膚にかゆみを催し、一時的に人の動きを封じる化学成分を含む。戦争で暴動鎮圧剤を使用することは国連の化学兵器禁止条約で禁じられている。
ここ数カ月、ロシア兵が戦場で催涙ガスを使用しているケースは定期的に報告されているが、オリヒウ周辺は異常とも言えるほど執拗(しつよう)に使用されている。