キリスト生誕の地ベツレヘム クリスマスは中止、平和も喜びもなく
パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区ベツレヘム(CNN) 入り組んだベツレヘムの通りに教会の鐘の音が響く。イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のイエス・キリスト生誕地は、例年であれば大勢の観光客でにぎわう。だが今年、人影はほとんどなかった。
地元当局は先月、パレスチナ人への連帯の意を込めてクリスマスの祝賀行事を控えることを決めた。壊滅的な状況にあるガザ地区では今もイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く。
ガザ地区に家族や友人がいるベツレヘムの住民も多く、ガザの惨状は重くのしかかる。
かつて街を彩っていた装飾は撤去され、パレードや祝賀礼拝は中止になった。市中心部の広場に飾られていた巨大なクリスマスツリーもない。
エルサレムから南へ約8キロのベツレヘムへ行くのはただでさえ容易ではない。イスラエルが建設した分離壁や、出入りを監視する検問所が移動を妨げる。
10月7日のハマスの攻撃以来、イスラエルはベツレヘムなどヨルダン川西岸のパレスチナの街で移動を制限して軍の検問所が出入りをチェックするようになり、仕事へ行こうとするパレスチナ人に支障が出ている。
ヨルダン川西岸では暴行や襲撃事件も激増し、パレスチナ保健省によれば、パレスチナ人少なくとも300人がイスラエル人に襲撃されて殺害された。
「息子にどうして今年はクリスマスツリーがないのかと聞かれ、どう説明していいのか分からなかった」。CNNの取材に応じたアリ・サベットさんはそう話す。
ベツレヘム近郊の村に住むサベットさんは、毎年クリスマスにここを訪れ、きょうだいたちとクリスマスを祝っていたという。「しかし今年のホリデーシーズンはあまりにひどい」
石畳の街路を歩くと衝突の影響は明らかだった。