ヒズボラの司令官、イスラエルによる攻撃で死亡 レバノンの治安関係者明かす
レバノン・ベイルート(CNN) 中東レバノンに拠点を置くイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の上級司令官が、イスラエルのドローン(無人機)攻撃により殺害された。レバノン南部で自らの車両内にいたところを狙われたという。同国の治安関係者が8日、CNNに明らかにした。中東地域では紛争の範囲拡大に対する懸念が高まっている。
殺害されたウィッサム・タウィル氏は、レバノンとイスラエルの国境地帯でヒズボラとイスラエルが交戦を開始した昨年10月8日以降に殺害されたヒズボラのメンバーの中で最高位に位置する。この前日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が実施したテロ攻撃により、イスラエルでは同国史上最多となる犠牲者が出ていた。
ヒズボラは声明で、タウィル氏がイスラエルの攻撃を受けて死亡したことを確認。共有した画像には、4年前に米軍に殺害されたイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官と並ぶタウィル氏の姿が写っている。
CNNはイスラエル国防軍(IDF)にコメントを求めている。
タウィル氏殺害の数日前には、ハマス政治部門ナンバー2のサレハ・アルーリ氏ら4人がレバノン首都ベイルートにある建物への攻撃で死亡していた。イスラエルはこの攻撃への責任を主張していない。
ヒズボラは6日、イスラエル北部の飛行場に対する大規模なロケット攻撃を実施。アルーリ氏殺害に対する「初期段階の反応」の一環だとしていた。この後、双方の間では国境を挟んだより激しい戦闘が行われた。
米国のブリンケン国務長官は8日、タウィル氏の殺害について、対立の激化がイスラエル、レバノン、ヒズボラのいずれの利益にもならないのは明白だとの見解を表明した。
前日には、現状で中東の緊張は深まっており、各地へ容易に波及しうるとも警告。治安の一層の不安定化とさらなる犠牲とを生み出しかねないと述べていた。