イスラエルとの戦争回避でヒズボラを説得 レバノン政府
(CNN) レバノンのハビブ外相は5日までに、同国に拠点を置くイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」に対しイスラエルとの戦争を思いとどまるようレバノン政府が対話などを通じて説得していることを明らかにした。
CNNの取材に述べた。同国政府はいかなる戦争も欲していないとし、イスラエルと国境を接する南部地域の平和を求めているとした。外相の発言は、レバノンの首都ベイルート南部で最近、軍事衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」の幹部らが攻撃を受けて殺害された事件を受ける形ともなっている。
ハビブ外相は、この事件やイラン国内で3日に発生した同国の精鋭部隊である革命防衛隊の故ソレイマニ司令官の追悼行事を狙ったかのような爆破事件の責任はイスラエルにあるとするレバノン政府の見方を示した。
その上で、中東は地域紛争が勃発する局面に実際に近づいているとの切迫した懸念を表明。「レバノン南部の状況が全土に波及することは望んでいない」とした。
レバノンとイランの両事件についてイスラエル政府は関与を認めていない。ただ、米政府当局者はCNNの取材に、ベイルートの事件はイスラエルの空爆によるものとしながら、イランでの爆破については「加担したと信じ得る理由は持ち合わせていない」と述べていた。
ヒズボラはイランが後ろ盾となっており、ベイルートの事件を受け、ヒズボラがイスラエルに対し報復攻撃を仕掛けるとの危惧も強まっている。ガザでの軍事衝突の発生後、ハマスと共闘するヒズボラとイスラエル軍との間の国境越しの攻撃も多発している。
ハビブ外相はヒズボラの説得作業について指示や命令を下すような形では進めていないとしながらも、説き伏せることは可能との考えを表明。「この方向に向かっていると判断している」ともつけ加えた。