スロバキア首相、戦争終結には「ロシアへの領土割譲必要」 ウクライナ反発
(CNN) 昨秋就任したスロバキアのフィツォ首相がウクライナ戦争終結のためにはロシアに領土を割譲する必要があると述べたことに対し、ウクライナが反発を示している。
ウクライナ外務省のニコレンコ報道官はフェイスブックに、「領土の一体性に関して譲歩はあり得ない。ウクライナであれスロバキアであれ、どの国にとってもそれは同じだ」と書き込んだ。
さらに「率直に言おう。もしウクライナの安全を確保できなければ、スロバキアも欧州全体も安全ではなくなる」と述べた。
フィツォ氏は国内ラジオとの先週のインタビューで、こうした考え方に真っ向から挑戦していた。ウクライナの領土保全は欧州連合(EU)における同氏の大半のパートナーの中核となる立場でもある。
フィツォ氏はインタビューで「ウクライナは何を期待しているのか。ドンバスやルハンスクからロシアが撤退することか、それともクリミア半島からの撤退か。全く非現実的だ。そんなことは誰にでも分かる」とも述べた。
ドンバスとルハンスクはウクライナ東部の領土。ロシアは2014年にウクライナ東部の一部を実効支配し、22年の全面侵攻後はここを起点に領土奪取を進めてきた。クリミア半島も14年に奪取・併合された。
ロシア寄りとの見方が多いフィツォ氏は、ウクライナへのさらなる軍事支援を阻止するとの公約を掲げ、昨年10月の選挙で勝利した。今回のラジオインタビューではウクライナについて、親ロシア派のヤヌコビッチ大統領(当時)を失脚させた14年以降、「米国の完全な支配下」にあるとの見方を示した。
フィツォ氏は欧州連合(EU)内ではハンガリーのオルバン首相と共同歩調を取り、ウクライナのEUや北大西洋条約機構(NATO)への加盟を阻止する考えを公言している。