国際司法裁、イスラエルにジェノサイド防止の「全ての措置」命令 停戦には踏み込まず
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルの軍事作戦はジェノサイド(集団殺害)に当たるとして南アフリカが提起した訴訟で、国際司法裁判所(ICJ)は26日、イスラエルにジェノサイドの防止を命じた。ただ、南アフリカが求めていた軍事作戦停止の要請には踏み込まなかった。
ICJはオランダ・ハーグでの審理で、イスラエルは軍事作戦による死と破壊を抑制し、ジェノサイドを扇動する行為を防止・処罰して、人道支援が確実に行き渡るようにするため「全ての措置」を講じる必要があるとの判断を示した。
南アフリカはイスラエルがホロコースト(ユダヤ人大虐殺)後に制定されたジェノサイド関係の国際法に違反したと主張。ICJに対し、イスラエルにガザ地区での戦闘停止を命じるよう求めていた。
ICJは戦闘終結こそ命じなかったものの、訴訟の棄却を求めていたイスラエルにとって今回の判断は打撃となる。
26日の判断は緊急措置を求めた南アフリカの請求のみに関わる。ジェノサイド訴訟の本案審理には何年もかかる可能性があり、緊急措置が一時差し止め命令のような役割を果たす。
ICJのドノヒュー裁判長は26日、「ガザ地区の人道状況は破滅的であり、当裁判所が終局判決を下す前に一層悪化する深刻なリスクがある」との認識を示した。
ICJの判断は法的拘束力があり上訴不可能だが、履行を強制する手段はない。2022年、ICJはロシアにウクライナ侵攻の即時停止を命じたが、それから2年近く経過した今もロシアの戦争は続いている。
イスラエルは以前からICJの命令を受け入れない姿勢を示していた。イスラエル首相府はX(旧ツイッター)で「国際司法裁判所も悪の枢軸も、そのほかの誰も我々を止めることはできない」と表明した。