イスラエル、レバノン地上侵攻を計画か 米政権内で懸念高まる
(CNN) 米政権や情報機関の当局者の間で、イスラエルがレバノン地上侵攻を計画しているとの懸念が広がっていることが分かった。イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」をイスラエル北部国境から押し戻す外交努力が失敗に終わった場合、数カ月以内に侵攻が始まる可能性があるという。
政権高官や諜報(ちょうほう)に詳しい当局者が明らかにした。
イスラエルの最終決定はまだだが、バイデン政権内の危機感は強く、政権高官向けの諜報報告で侵攻の可能性が語られるようになっている。報告を受けた関係者1人が明らかにした。この関係者は作戦開始は初夏になる可能性があると伝えられたという。
イスラエル警察がレバノン南部から発射されたロケット弾でできた穴を調査=14日、イスラエル北部ツファット/Jalaa Marey/AFP/Getty Images
バイデン政権高官の一人は「今後数カ月以内にイスラエルの軍事作戦があるという想定で対応している」と説明。「数週間以内に迫っているわけでは必ずしもないが、この春になるかもしれない。イスラエルが軍事作戦に出る可能性は十分ある」との見方を示した。
ヒズボラはイランの支援を受ける強力な準軍事組織。パレスチナ支持の姿勢を打ち出し、ガザ地区でのイスラエルの攻勢を非難している。
イスラエルとヒズボラはここ数カ月、国境を挟んで攻撃の応酬を繰り広げており、レバノンやイスラエルの住民数万人が家を追われる事態になっている。イスラエルは砲撃を実施しているほか、戦闘機やドローン(無人機)も投入。ヒズボラの側も保有する膨大なロケット弾やミサイルの一部を使用している。
米国はガザ戦闘休止を巡る協議で主要な仲介役を務める一方、これと並行して、イスラエルやレバノンの当局者との協議を主導している。協議が妥結した場合、レバノン南部に数キロの緩衝地帯が誕生する見通し。米当局者の間では、合意成立ならイスラエルによる侵攻を先延ばしにできる可能性が高いとみられている。