パレスチナ人数千人、ガザ北部に戻れず イスラエル兵が銃撃
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区で14日、男女や子ども、高齢者など何千人もの住民が北部の自宅に戻ろうとしていたところをイスラエル兵に銃撃された。
CNN通信員が撮影した映像には、海岸に面した道路を埋め尽くす人々の姿が映っている。所持品を持って歩く一家や、自転車、ロバに引かせた荷車、ピックアップトラックに乗った住民もいて、笑顔で写真を撮るなどしていた。
「ガザ市へ行く。それだけで十分。私たちは自分たちの家と土地に戻る必要がある。避難生活には疲れ切った。もう戻れると人づてに聞いたけれど、正式に告げられたわけではない。それは神に委ねる」。住民の女性マジド・エルアッカドさんはそう語った。
大勢の住民が北部へ向かう映像が相次いでネットに投稿され始めたのは現地時間の14日午前。これほど多数が一斉に北部へ向かったのは初めてだった。イスラエル軍が女性や子どもの帰還を許しているという話を聞いたという人もいれば、親類が帰還を許されたという人もいる。
しかしイスラエル国防軍は、そうした情報は誤りだとCNNに説明し、「ガザ地区北部は今も戦争地帯であり、この地域に戻ることは現時点で許可していない」とした。
CNNに提供された映像の中で、ウム・モハマドさんという高齢女性は大きな袋を頭にのせ、さらに二つの荷物を両手に下げて、自宅を目指して道路を歩いていた。
「自分の家のことは何も分からない。あれは私たちの家、私たちの土地。イスラエルが私たちを追い出して侮辱した」とモハマドさんは訴える。
ガザ北部ジャバリヤ出身の女性マラク・アブ・ナダさんは「ここにいるのは疲れた。もう191日も避難している」とCNNに語った。
北部へ戻ろうとした住民の多くは南部のラファに避難していた。ラファ攻撃を予告しているイスラエルに対し、そうなれば「人道的大惨事」を招くと国連は指摘している。
ガザ保健省は14日、昨年10月7日以来のガザ地区での死者が3万3729人に増え、負傷者は7万6371人に増えたと発表した。
CNNは独自にこうした数字について確認できていない。