ガザ支援物資待ちの群衆に攻撃、「小麦粉虐殺」の実態をCNNが検証
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区北部のガザ市で2月29日未明、支援物資を受け取ろうと集まった住民ら100人以上が死亡、700人が負傷する惨事が起きた。現場で何が起きたのかについて、ガザ側とイスラエル側の説明は食い違っている。CNNは独自に22人の目撃者から証言と映像を集めた。
ジハード・アブワトファ氏(27)はガザ市の海岸に立っていた時にイスラエル軍の戦車が近づいてくるのを目撃し、携帯電話で撮影を始めた。
目の前を銃弾が次々に通り過ぎていく。周囲では数百人のパレスチナ人が支援物資を待っていた。ガザ北部では、1カ月前から途絶えていた物資搬入が再開したばかりだった。
CNNが取材した住民ら22人のうち、多くは家族に食べさせるものを探して市外から来ていた。支援トラックの車列がイスラエルに指定された南北ルートの検問所を通過したのと同時に、イスラエル軍が群衆に向かって発砲を始めたと、住民らは振り返る。
それでも後には引かなかった。小麦粉を取りに行かずに命が助かっても、代わりに餓死するしかないことが分かっていたからだ。
ガザの保健省は、同日の銃撃で数十人が死亡し、負傷者は銃で撃たれた傷の手当てを受けたと主張した。これに対してイスラエル軍は、食料を求めて押し寄せた住民らが折り重なるように倒れたり、混乱を避けて走り去ろうとするトラックにひかれたりしたケースがほとんどだと説明した。
イスラエル首相の特別顧問を務めるマーク・レゲフ氏は当初、CNNとのインタビューでイスラエル軍の関与を否定した。軍のハガリ報道官はその直後、兵士らは群衆に直接発砲せず、空中に威嚇射撃をしただけだと述べた。
イスラエル軍はさらに内部調査の結果、3月8日に当時の時系列を発表した。それによると、支援トラックは午前4時29分にガザ北部への境界を越え始め、戦車がこれに伴走した。同4時30分に「警告射撃」をした後、脅威を及ぼしていた「容疑者たち」に向かって発砲した。同4時45分にも警告射撃を繰り返したという。