ガザ支援物資待ちの群衆に攻撃、「小麦粉虐殺」の実態をCNNが検証
目撃者の1人がCNNに見せた映像では、午前4時22分の時点で銃声が響き、人々が逃げ出していた。戦車が来ると叫び、周囲に避難を促す声も聞こえる。
アブワトファ氏はCNNに、銃声が聞こえた直後に撮影を始めたと話した。付帯情報によると、撮影時刻はイスラエル軍の「警告射撃」より2分早い4時28分だった。
専門家の分析によると、1分間に600発という連射だった。アブワトファ氏はそのまま撮影を続けた。4時30分にはトラックが道路を走り、イスラエル軍の戦車がある南西方面から複数の曳光弾(えいこうだん)がほぼ水平に飛ぶのが見えた。
銃声が激しくなるなか、アブワトファ氏はトラックから小麦粉1袋を入手して持ち帰ったという。
翌朝の現場には、頭部や胸に傷を負った遺体が散乱していた。CNNは、市内のシファ病院で手当てを受けた負傷者7人からも話を聞いた。左肩を撃たれて包帯を巻いた男性は、助けが来たのは夜が明けてからだったと話した。
別の男性はCNNに、車列から小麦1袋を受け取って歩き出した時に撃たれたと話した。
シファ病院の医師の1人は家族のために食料を取りに行き、イスラエル軍の発砲でパニック状態に陥った人々を目撃。自身も左脚を撃たれたが、自分で包帯を巻いて病院へ戻り、運び込まれる負傷者の治療にあたったという。
CNNの調査によると、支援物資の一部は英国に拠点を置くイスラム系の救済・開発支援団体が発送していた。同団体の管財人はCNNとのインタビューで、「過去20年の活動で、支援物資に血が交じるのを見たのは初めてだ」と衝撃を語った。