イスラエル駐日大使、原爆の日の式典めぐり長崎市を批判 「市長が式典乗っ取った」
(CNN) イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使は5日、長崎市で原爆の日の9日に開かれる平和祈念式典に招待されなかったことについて、長崎市長が安全面の懸念を「でっち上げている」として非難した。
広島市は6日の平和祈念式典にイスラエル大使を招待しており、長崎市との間で対応が分かれていた。
被爆者団体などは、何万人ものパレスチナ人が殺害されているイスラエルのガザ攻撃を理由に、広島・長崎両市に対してイスラエル大使の招待を見送るよう要望。ロシアとベラルーシはロシアのウクライナ侵攻を理由に招待されておらず、イスラエルに対しても同じ扱いをすべきだと訴えている。
長崎市の鈴木史朗市長は7月31日の記者会見で、イスラエル大使を招待しないことについて、政治的な判断に基づくものではないと強調。被爆者を追悼する式典を平穏かつ厳粛な雰囲気のもとで円滑に行いたいと述べ、苦渋の決断だったと説明していた。
これに対してコーヘン大使は5日、「公共秩序とは何の関係もない」とCNNに語り、「公共秩序と安全対策を担う関係機関に確認したところ、私が長崎へ行く支障は何もない」と反論。長崎市長がそうした不安を「でっち上げている」と非難し、「市長が自分の政治的動機のためにこの式典を乗っ取っていることに本当に驚いた」と言い添えた。
CNNは長崎市にコメントを求めている。
コーヘン大使は、安全面の懸念はないと判断した理由については守秘義務を理由に明らかにしなかった。ただ、広島市はイスラエル大使の招待に関して安全面の懸念を問題にしなかったと指摘。6日に広島市の平和公園で行われる式典では被爆者や遺族をしのんで献花する意向だと語った。
長崎市の式典については、イスラム組織ハマスやレバノンの武装組織ヒズボラの後ろ盾となっているイランが出席を予定しているとコーヘン大使は言い、「自由世界と文明に対して送るべきメッセージとは真逆だ」と主張。ただし、大使館として日本政府に抗議したかどうかは明らかにせず、日本は「イスラエルの協力国」だと強調した。
CNNは日本政府にもコメントを求めている。