ウクライナ越境攻撃のクルスク州、「激しい戦闘が進行中」 住民はプーチン氏に支援要請
(CNN) ロシアへの越境攻撃を行ったウクライナ軍が、ロシア南西部クルスク州のさらに奥深くへと侵入している。米国やウクライナの複数の当局者によると、今回の越境侵入には米当局者も驚いているという。
ウクライナ軍は通常部隊と特殊作戦部隊の混成部隊で、覆面部隊や現地の協力者で構成されることが多かった従来のロシア国内での作戦とは様相が異なる。
米国やウクライナの当局者によれば、その意図は様々だが、ロシア軍を混乱させて士気をくじいたり、ロシア軍の注意を東部戦線の他の場所からそらしたりする狙いがある。米当局者はウクライナが長期間のロシア領占拠を意図しているとは考えていない。
ロシア国防省が公開した映像。ロシア軍が7日にクルスク州付近でミサイル攻撃を開始したとする様子が捉えられている/Russian Ministry of Defense/Anadolu/Getty Images
ロシアは8日、自国領土へのウクライナの侵入を食い止めたと主張したが、その後クルスク地方で一部の戦闘が進行中だと修正した。ロシア国防相によると、ロシア軍の「北」グループと連邦保安局(FSB)は「クルスク州のスジャンスキー地区とコレネフスキー地区で引き続きウクライナ軍の部隊陣形を破壊している」という。CNNはこうした主張を独自に確認できていない。
スジャンスキー地区に住むクルスクの住人は8日、ロシアのプーチン大統領に支援を求める動画を撮影。現地の戦況について誤った説明を受けており、状況は統制下にあるというロシア国防省の声明は事実と異なると訴えた。
この訴えはクルスク州スジャの最新情勢を伝えることに特化したテレグラムのチャンネルに掲載された。同地域は数日にわたりウクライナの攻撃にさらされている。
住民の一人は「こうした噓(うそ)のせいで地域住民が命を落としている。参謀総長は最近、状況は統制下にあると述べたが、スジャンスキー地区とコレネフスキー地区では現在、大規模な激しい戦闘が進行している」と訴えた。
ロシア保健省によると、クルスク州では6日以降、子ども9人を含む66人が負傷した。医薬品や血液などは医療機関で必要量が手に入るとしている。
ロシア国営タス通信は8日、連邦医学生物学庁が負傷者の手当てに使われる移動式ベッド100床を手配したと報じた。