保健当局が注意喚起の感染症「オロプーシェ熱」とは 昆虫が媒介、欧米でも症例
(CNN) 小さなハエなどの昆虫が媒介するウイルス感染症「オロプーシェ熱」について、保健当局が注意を呼びかけている。
今年に入って報告されたオロプーシェ熱の症例は、8月1日までに8000例を超えた。ほとんどは南米の症例だが、これまで前例がなかった国にも広がっており、米国や欧州でも渡航に関連した数十例の症例が確認されている。
世界保健機関(WHO)の汎米(はんべい)保健機構は、南北アメリカ地域の公衆衛生リスクレベルを「高」に引き上げてオロプーシェ熱に注意を呼びかけた。
米疾病対策センター(CDC)は27日、キューバから米国に帰国した少なくとも21人がオロプーシェ熱の検査で陽性になったと発表。医療機関や保健機関に警戒を促すとともに、妊婦はこうした国への渡航を避けるよう勧告した。
オロプーシェの名称は、1955年にこのウイルスが発見されたトリニダード・トバゴの村に由来する。以来、約50万の症例が記録されているものの、この疾患に関する知識は限られており、医学誌ランセットは「謎めいた脅威」と形容していた。
CDCによると、感染すると約60%が発熱や悪寒、頭痛、筋肉痛や関節のこわばりなどの症状を発症する。まれに神経系に感染すると、髄膜(ずいまく)炎や脳炎を引き起こすこともある。
オロプーシェ熱のウイルスは、ヌカカという小さなハエや、特定種の蚊に刺されることで人に感染する。
今年は初めてオロプーシェ熱のために死亡した症例や、妊婦から胎児に感染した症例が報告された。
ブラジルでは若い女性2人が死亡。中年男性の死亡例についても調査が行われている。
妊婦の感染によって胎児が死亡したり、小頭症など先天性の疾患を引き起こしたりした症例も、少なくとも5例確認されている。