司法制度改革案が審議入り、民主主義にとっての危機との批判も メキシコ

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司法制度改革案に反対する法学部の学生/Ian Robles/Eyepix Group/LightRocket/Getty Images

司法制度改革案に反対する法学部の学生/Ian Robles/Eyepix Group/LightRocket/Getty Images

改革案には政党から独立した司法選挙が明記されているが、最高裁の調査部門である憲法研究センターは今年初めに発表した分析で、判事の新しい選出手続きは司法における「公平性の概念を損なう」と結論付けた。

同センターは「司法職の候補者を指名する方法は、政治当局、政党、司法幹部に近い立場の候補者を優遇する」と指摘している。

判事の選出を国民投票に委ねる動きは、ロペスオブラドール氏の政治的影響力が増す中で始まった。6月の大統領選ではメキシコ市の前市長でロペスオブラドール氏の後継者であるクラウディア・シェインバウム氏が全投票のほぼ60%を獲得。圧倒的勝利で大統領に選出された。

10月1日に就任するシェインバウム氏は、改革によって与党「国家再生運動」(モレナ)に権力が集中するという見方に異議を唱えている。同氏は先週、判事候補の指名手続きについて三権が分担して実施する点を強調した。

また、改革支持者らは司法選挙の長期的モデルの例として米国を挙げる。しかし政治学の専門家によると、米国の39州では何らかの形で司法選挙が実施されているが、連邦判事は大統領が任命し、上院で承認されている。これほどの規模で判事を選出するとなれば、それはメキシコだけだという。

法律の専門家らによると、メキシコの改革を検討する上で最も近い基準は南米のボリビアだ。ボリビアは2011年に連邦判事を直接選挙で選出した最初の近代国家となった。

同国の改革は望んでいた成果の一部を達成した。15年に発表された論文によると、ボリビアの連邦裁判所は女性やマイノリティー(少数派)の判事が歴史的にみて多く、西半球で最も多様性のある憲法裁判所になった。

一方で世論調査では、改革が定着した後、最高裁に対する国民の信頼は低下したことが明らかになった。

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