麻薬組織の大物逮捕、「裏切り」が発端だった 内部抗争を米当局が利用か
(CNN) 米捜査当局が半世紀以上も行方を追っていたメキシコ最大級の麻薬組織「シナロア・カルテル」のリーダーとされる男が、米連邦当局に逮捕された。米当局者によると、逮捕の発端は裏切り行為だった。
逮捕されたのは、シナロア・カルテルの共同創設者「エル・マヨ」ことイスマエル・サンバダ容疑者(76)と、ホアキン・グスマン・ロペス容疑者(38)の2人。グスマン・ロペス容疑者は「麻薬王」と呼ばれた「エル・チャポ」ことホアキン・グスマン受刑者の息子で、米当局者がCNNに語ったところによると、サンバダ容疑者をだまして今回の逮捕劇を演出したのはグスマン・ロペス容疑者だった。
米当局者によれば、両容疑者を乗せた小型機はメキシコとの国境に近いテキサス州エルパソ近郊の空港に着陸した。滑走路上では米当局が待機していた。
サンバダ容疑者は25日、グスマン・ロペス容疑者と一緒に国境付近の物件を視察するつもりで同機に搭乗したという。捜査当局がシナロア・カルテル内部の亀裂を利用していたことや、グスマン・ロペス容疑者が実はサンバダ容疑者逮捕に協力していたことを、サンバダ容疑者は知らなかったとされる。
サンバダ容疑者と、グスマン・ロペス容疑者などエル・チャポの息子たちの間では、長年の権力争いが激化していた。
捜査を率いた米国土安全保障省の捜査員は当初、グスマン・ロペス容疑者の申し出に懐疑的だったという。
それでも2人を乗せた航空機がエルパソ近郊の空港に到着した時は、米連邦捜査当局が待機していた。
25日午後、滑走路に到着した小型機を目撃したという空港職員はロイター通信の取材に対し、「2人の人物が飛行機から降りてきて、平然とした様子で身柄を拘束された」と振り返った。
CNNの取材に応じた関係者の1人は、全てが驚くほど順調だったと話している。