(CNN) ウクライナ軍のシルスキー総司令官は5日、CNNの単独インタビューに応じ、同軍がロシア南西部クルスク州に越境攻撃を仕掛ける前、ロシア軍は同州からウクライナへの攻撃を計画していたと明らかにした。クルスクへの攻撃は成功しているとの見解も示した。
シルスキー氏が2月に総司令官に任命されてからテレビ局のインタビューに応じるのは初めて。
奇襲となった越境攻撃はロシアの不意を突いただけでなく、米国の当局者すら驚かせた。人員や兵器の数などで有利なロシア軍が脆弱(ぜいじゃく)性を抱えていることもあらわになった。
シルスキー氏は越境攻撃の目的について、クルスクからの新たな攻撃を阻止することや、ロシア軍部隊を他の戦闘地域から移動させることを挙げた。また、緩衝地帯を設けて民間施設への砲撃を防ぐことや、捕虜を確保すること、ウクライナ軍や国全体の士気を高めることも目的だったと説明した。
ロシア軍は精鋭の空挺(くうてい)部隊を含め、数万人の兵士をクルスクに移動させたという。
シルスキー氏は東部で繰り広げられている激しい戦闘の中心地となっているドネツク州ポクロウシク周辺の状況は極めて厳しいことを認めつつ、ロシア軍の前進を食い止めていると指摘。「ここ6日間、敵はポクロウシク方面で1メートルも前進していない。われわれの戦略は機能している」と述べた。
各地に配置されていたロシア軍部隊をクルスクに引き寄せたことで、他の戦闘地域での砲撃の回数が減り、攻撃の激しさも和らいだという。
また、シルスキー氏は兵器や兵士の数などでロシアに劣っているがゆえにウクライナは効果的な方法で賢く戦うようになっているとの考えを示した。