ロシアが反攻開始、クルスク州からウクライナ軍排除へ ただし勢い欠く
クルスク州でロシアの反攻が進み、ウクライナ側の損失が増えている状況だが、ウクライナのゼレンスキー大統領はクルスク侵攻の必要性と重要性を強調。これにより、ポクロウシクへの脅威が迫る東部ドネツク州でロシアの進軍が鈍っていると主張した。ロシアのプーチン大統領は部分的に支配下にあるウクライナ東部4州の完全奪取を目指しており、戦闘の大半はこの地域に集中している。
ゼレンスキー氏は13日、CNNのファリード・ザカリア記者が司会を務めた首都キーウでの会合で、ポクロウシクにおけるロシアの砲弾の優位性が12対1から2.5対1に低下したと明らかにし、クルスクでの軍事作戦の成功が要因だとの認識を示した。
「クルスク作戦の以前、ドネツク区域での(ロシアの進軍)スピードはさらに早かった。ドネツク(区域)だけでなく、東部全体を見てもそうだった」(ゼレンスキー氏)
ロシアの勢いは9月第1週には鈍ったものの、主要部隊が撤退してクルスク州へ転戦した様子はない。ただ、一部の部隊は1000キロに及ぶ前線の比較的落ち着いた地域から再配置された。ロシア政府は今のところ、ロシア国内の失われた領土の奪還よりも、ドネツク州で進軍するという目標を優先しているとみられる。
ウクライナはクルスクでの軍事作戦について、▽現在ウクライナの前線に投入されている部隊の移動をロシアに強いる▽交渉で交換材料にする土地を手にする▽プーチン氏が引いた「レッドライン(越えてはならない一線)」を意に介さない姿勢を示す▽捕虜交換に使う戦争捕虜を得る――といった理由を挙げている。
ゼレンスキー氏は、クルスクでの作戦は紛争激化に関するプーチン氏の警告の空疎さを示したとも主張している。
さらに今回、クルスク侵攻を正当化する新たな理由を付け加え、ウクライナ北部の広い範囲を緩衝地帯として奪取するというプーチン氏の計画を阻止したと主張。この計画が実行されていれば、「地域の中心」がのみ込まれていたとの見方を示した。
ゼレンスキー氏がキーウでの会合で語ったところによれば、「パートナーからの情報」では、ロシアがウクライナ国内の奥深くに「安全地帯」を設ける意向であることが示されているという。
ISWによれば、ロシア軍はウクライナ軍の戦力を広く分散させるため、ウクライナ北東部の前線で、より幅広くより継続的に追加の軍事作戦を実施する可能性がある。